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飲食店経営におけるキャッシュフローとFLコスト


 

皆様こんにちは。HACCPコーディネーターの石田です。

 

季節が急に進んだり、戻ったり、着る服に気を使う毎日ですね。

飲食店への時短要請が解かれ、やっとやっと待ちに待った日常が戻ってきましたね。

先日、夜分に駅周辺を通りかかりましたが、へろへろに酔っぱらっている人を多く見かけました。

飲食店舗の皆様もお客様の戻りをまさに実感されているのではないかと思います。

 

本日は、飲食店経営の基本指標となるキャッシュフロー、FLコストのお話をしていきたいと思います。

 

1 キャッシュフローの重要性

 

キャッシュフローという言葉を耳にしたことがある方は多いのではないかと思います。

 

キャッシュフロー=お金の流れのこと

 

飲食店経営をしていく中では、お金が入ってきては、出ていってと常に流動的で、把握しづらい状態のことが多いです。

毎月大体は把握しているけど・・・細かくまで見ていないという飲食店経営者様も多数いらっしゃると思います。

 

今月は売上が良かったから手元に現金がたくさんあるだろうと思ったら、手元に残ったのはわずかの現金だった・・ということもよくある話です。

 

飲食店ではキャッシュフローの管理が特に重要になってきます。

 

 

今回のコロナは早々あることではないと思いますが、天災や事故が起こって営業が急にできなくなってしまった場合などのことも考慮しておく必要があります。

 

 

・人件費 3か月分

・家賃  3ヵ月分

・金融機関への返済 3か月分

 

 

上記3項目に関しては、いつでも使える現預金として確保しておくのが理想です。

 

 

つづいて、キャッシュフローに関する計算の方法のご案内をしていきます。

 

 

(1)売上予測をたてる

 

キャッシュフローを確認するためには、収入源である売上金の予測を行う必要があります。

売上予測を行う際には、

 

【外的要因】

・前年同月の売上額

・周辺状況(周辺の商業施設やイベントなど集客要因に繋がっているもの)の変化

・天候など

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【内的要因】

・従業員状況(人員不足、従業員のスキル状況等)

 

を踏まえ、予測を行います。

売上予測を基にコストの管理をしていくため、売上予測は確実に見込める売上か、それより少なめに設定すること

おすすめします。

 

また、現金以外の、キャッシュレス決済やクレジットカードの入金がいつ支払われるかも確認しておきましょう。

 

 

 

 

(2)主となるコストを把握する

 

飲食店の主となるコストは以下の通りです。

 

・原材料費

・人件費

・家賃

 

原材料費はFood

人件費はLabor

家賃はRent

 

これらの頭文字をとってFLコスト、またはFLRコストと言われます。

 

FLコスト比率とは、売上高に占める原材料と人件費コストの比率のことです。

売上高は1年のうちでも毎月変動があります。そのため、健全な店舗運営を行けるように、自店に合った適正なFLコスト比率を把握しておくことが重要です。

 

FLコスト=食材原価+人件費

FLコスト比率(%)=(食材原価+人件費)÷売上×100

 

 

一般的に、FLコストは、F、Lともに30%ずつの合計60%が目安となります。

また、FLRコストを70%以内におさめられると健全な飲食店と言われています。

 

 

 

 

(3)その他コストを計算する

 

主な3大コストは、FLRコストというお話をしてきました。

他コストにはどんなものがあるでしょうか。

 

・光熱費

・販売促進費

・消耗品費

・弁護士顧問料、経営コンサルタント費用

 

などでしょうか。

光熱費も季節により変動が大きくなります。1年を通しての増減をある程度把握し、毎月売上に対しての比率で管理をしていくと、営業利益のブレが少なくなります。

例えば、500万の売上高を予測した月で、

F:30%

L:30%

R:10%

光熱費:3%

販売促進費:1%

消耗品費:2%

弁護士顧問料、経営コンサルタント費用0.5%

 

とします。コストで76.5%の費用が必要なので、

500万×76.5%=382.5万円が支出されると予測できます。

500万―382.5万円=117.5万円は営業利益となると予測し、他の支出も予測範囲内で行えば、問題ありません。

 

 

 

 

(4)金融機関への返済、納税額を把握する

 

銀行からの借り入れがある場合は返済額を記載しておきましょう。

また、毎月のことではありませんが、消費税や源泉徴収税の納税は何月にあたるか、納税時に必要な金額を明確にしておくことが大切です。

 

 

 

 

(5)キャッシュフローに関する計算のまとめ

 

①毎月の売上高を予測する

②売上高に対し、主となるコスト(FLR)の金額目標に設定する

③売上高に対し、その他コストの金額目標を設定する

④金融機関への返済、納税額を算出する

 

①―(②+③+④)=手元の現預金

 

上記式で、ある程度の手元資金を算出することで、計画的にキャッシュフローの管理を行っていくことが理想です。

 

 

 

 

2 FLコスト管理のポイント

 

 

飲食店のFLコストは合わせて60%以内が理想というお話をしました。

FLそれぞれの管理ポイントを解説していきます。

 

 

(1)Fコスト管理ポイント

 

F:原材料費

 

原材料費が低いと利益が出やすいことは明らかです。

しかし、原材料費を安く抑えようとしすぎて料理の味が落ちてしまったら、お客様が来なくなってしまい、元も子もありません。

原材料費を適正に管理していくために、何が必要なのでしょうか。

 

 

・原材料費のことを原価と言います。

・原価率は、売上高に対して原価の占める比率のことです。

・理論原価とは、1gのずれもなくレシピ通りに調理が行われたときの原価のことです。

・理論原価率とは、売上高に対して理論原価の占める比率のことを言います。

 

 

① 名物商品を設定する

 

飲食店舗で様々なドリンクや料理が提供されていると思います。セルフカフェなどのドリンクが中心商品のお店や、大手チェーン店のように牛丼が中心商品である店など様々です。自店舗商品の中で、中心商品を設定することで、ある程度、原価率の予測ができ管理を行いやすくなります。

中心商品の原価が低いとなおのこと、理想的です。

 

たとえば、大手セルフカフェの目玉商品である「フラペチーノ」は原価率16%程度と言われており、かつ売上構成比にして75%を占める中心商品であることから、飲食物トータルの理論原価率は29%程度ととても理想的な数字となっています。

 

このように、全ての商品の原価率を下げるのではなく、売上構成比の高い商品の原価率を管理することが、大切になってきます。

 

 

 

 

② レシピを作成する

 

個人店ですと、レシピはシェフの頭の中・・といったようなことが多いと思います。

 

レシピを見える化し、1食あたりの食材使用量を統一することで、食材原価が計算通りに近づきます。毎食は無理でも、1日1回以上はレードルや計量スプーンなどを使用し、目分量を確認することなどが必要です。

 

レシピを見える化し、食材使用量が統一されると、以下のように良いことが多々あります。

 

・食材原価が安定する

・商品クオリティが安定する

・お客様もいつ行っても同じ味、同じ商品を楽しむことができ、お客様満足度が高まる

HACCPの重要管理のポイントが明確化される

 

 

 

 

③ 食材ロスを減らす

 

食材原価が高騰したり、ぶれる要因として食材ロスが挙げられます。

 

出品を見込んで多く仕込んだが、思いのほか出が悪かった・・・

というようなことは、飲食店では多々見られる光景です。

 

ひと昔前でしたら、大手パン屋さんはパンを切らすとショーケースがスカスカになってしまうので、閉店間際でも売上を伸ばすために食材ロスを覚悟でパンを追加焼きなどされて

いるお店も多かったのではないでしょうか。

今や、世界的にもSDGsの潮流があり、食材ロスをいかに減らしていけるかを考えていくことが大切です。

 

捨てないパン屋 ドリアン

 

様々な考え方がありますが、捨てないパン屋 ドリアンさんのお話も一つ食材ロスを出さない方法だと思います。

 

F(原材料費)を管理していきましょう。

 

 

 

 

(2)Lコスト管理のポイント

 

Lコスト:人件費

 

人件費に関しては、飲食店舗の業態や提供する商品によっても大きく変動するので、一概には言えないことが多いですが、大まかには以下の通りです。

 

 

① オペレーションや接客ルールの明確化

 

店舗内オペレーションやルールを明確にしておきます。無駄、無理のない動きを取ることができれば、従業員が必要な時間内で業務を終えることができ、そのことが人件費の削減につながります。

 

 

 

 

② 従業員教育システムの確立

 

店舗内オペレーションやルールを明確し、それらを行動に移すための従業員教育を行います。

従業員教育に関しても、人によって言うことが違わないようにマニュアルなどを予め作成しておくことをおすすめします。

 

たとえば、ホールスタッフがお客様入店時にメニュー説明を行うというオペレーションであれば、ホールスタッフに商品知識やアレルギーに関する知識を教育しておく必要があります。

 

 

 

 

③ 従業員満足に繋がる仕組みや環境創り

 

飲食業界はブラックなことも多く、かつ他に働く場所(選択肢)が多数あることから、入社しては辞めてしまい・・で人員の長期的な確保が難しい業態です。

 

また、働く従業員も学生、主婦、年配の方と年齢層に幅があることも特徴のひとつです。

 

 

福利厚生をしっかりする、高いお給料を支払うなどは、大手こそできても中小規模の飲食店では実現不可能です。

 

 

では従業員満足はどのように実現すれば良いのでしょうか?

 

 

私が飲食の現場で感じた働きやすい環境創りのポイントは以下のような点です。

 

・就業ルールがあり、会社も従業員もルールを遵守している

・お店(やブランド)が目指すビジョンがある

・シフトが早くわかる(予定が組みやすい)

・休み希望を言いやすい

・上司から「お疲れ様」など、一言でも声をかけてもらうことができる

・(当たり前ですが)サービス残業がない

・従業員間のコミュニケーションが取れている(先輩、後輩の壁が低い)

・忙しくても質問などを聞いてくれる人がいる

・感謝される、承認される機会がある

 

 

ほんの少しの気配りでできることも、店長や責任者が管理しなければならないこともありますが、一度入社した従業員が短期間で辞めてしまえば、また新たに人を採用しなければなりません。

採用には費用がかかりますし、またイチから教育を行うことで人件費が増幅する要因にもなります。せっかく採用した貴重な人材を定着させる工夫こそが人件費コントロールの要です。

 

 

 

 

④ 必要な人員数の把握と適正な人員配置

 

コロナによりお客様が来ないので従業員を解雇し、少人数で飲食店を運営していたが、緊急事態宣言が解除され、一気にお客様が戻ったために、従業員の人数が足りず、売り逃しやクレームが勃発している・・

 

このような話を耳にする機会が増えています。

 

今回のコロナのような場合の予測はかなり難しいとは思いますが、日常が戻り始めた際には自店舗のピークタイム、アイドルタイムは何時から何時で、時間帯ごとの必要人数を把握する必要があります。

 

緊急事態宣言が解除され、外食する機会も増えつつあります。しかし、まだまだ以前のような状態に戻ることは難しいと考えられます。貴重な外食を楽しみにしているお客様は多いはずです。期待を裏切ってしまえば、再来店してくれなくなることも十分考えられます。

 

必要な人員数の把握、適正な人員配置を行うことは、無駄な人件費を削減するばかりでなく、売上増減の要因になります。

 

 

 

 

3 まとめ

 

今回は飲食店経営について、

1 キャッシュフローの重要性

2 FLコスト管理

 

を解説しました。

 

このようなご時世ですので、何がどうなるかわからずご不安なことも多いとは思いますが、飲食店経営者の皆様の参考になりましたら幸いです。

 

 

find a way 法律事務所

HACCPコーディネーター  石田 香玲