消費期限、賞味期限、販売期限の概要 - 大阪市で労使、飲食、M&Aに関する相談は「findaway法律事務所」へ

 

消費期限、賞味期限、販売期限の概要


 

皆様こんにちは。HACCPコーディネーターの石田です。

 

本日は前回食品表示法で少しふれました賞味期限、消費期限についてお話したいと思います。

 

1 期限表示の変遷

 

期限表示が初めて導入されたのは1985年(昭和60年)でした。

乳等省令の改正が行われ、「常温で長期保存可能なLL牛乳については、製造年月日と併せて品質保持期限を記載」とあります。

尚、品質保持期限の定義としては製造後常温において、その品質の保持が可能な期限でした。

1994年(平成6年)には、食関連の委員会で、「消費期限」や「賞味期限(品質保持期限)」の表示が答申されています。

 

その後、2001年(平成13年)には、すべての加工食品に賞味期限もしくは消費期限のいずれかの表示の義務付けがされたのです。続いて2003年(平成15年)には、品質保持期限が賞味期限と統一され、期限表示は「賞味期限」「消費期限」のみになりました。こうみると賞味期限の義務付けは2000年代に入ってからのことだということに驚きを感じます。

それくらいに賞味期限、消費期限は私たちの生活に馴染んだものとなっています。

 

 

 

 

2 賞味期限と消費期限の違いについて

 

違いは日持ちするか日持ちしないかで区分けされます。

 

【消費期限】

定められた方法で保存し、かつ、容器包装が開かれていない場合でも製造、または加工されてから品質が急激に劣化しやすい

日持ちしない食品に記載される期限表示が消費期限です。

消費期限は年月日で表示されます。

また消費期限は製造または加工されてからおおむね5日以内ものが対象です。

 

急激に品質が劣化する可能性があり、また早めに食べなければ衛生上の問題が発生するおそれがあることから、消費期限を過ぎた食品は食べない方が良いとされています。

消費期限は生ケーキやお弁当、サンドイッチなどに表示されています。

 

 

【賞味期限】

消費期限に対し、賞味期限は定められた方法で保存し、かつ、容器包装が開かれていない場合、品質が急激には劣化しない日持ちする食品に記載される期限表示です。

賞味期限はおいしさを保てる期限のことであり、年月日または年月で表示されます。対象の食品は製造・加工されてからおおむね6日以上のものです。

 

家庭でも「あっ、期限すぎてる! 賞味期限やから大丈夫かなぁ?」というような場面が多いのではないでしょうか。

(我が家は頻繁にあります・・・)

 

 

 

 

3 消費期限や賞味期限は誰がどのようにして決めているのでしょうか?

 

実は、「この商品は何日以内」と定める公的な機関や基準はありません。科学的・合理的な根拠に基づき、さらに安全も考慮したうえで、製造者(メーカー)がすべての責任を負って設定しているのです。

 

消費期限・賞味期限が食品を安全に食せることで人々の健康維持に役立っている事実はまぎれないことではありますが、あまりに定着してしまったために、表示されたピンポイントの日付けを過ぎると処分され、日本の食品ロスの大きな要因となっています。

 

 

 

 

4 販売期限

 

加えて、製造者(メーカー)は消費期限・賞味期限のほかに販売期限を設定しています。

 

販売期限とは消費者にいつまで販売してよいかという期限です。

よく言われるのが3分の1ルールです。

賞味期限が90日あったとした場合、メーカーは60日前までに店舗へ納品する、店舗は30日前までは販売するが、30日を切ると売り場から商品を引き下げなくてはいけません。

 

この日本の商慣行によりまだ食べられる食品が店頭から消えてしまう=廃棄されることで大きなフードロスを生み出す原因の一つとされてきました。

この3分の1ルールはやっかいなことに食品衛生法や食品表示法などの法律で定められているわけではなく、1990年代に食品メーカーと小売店の間に誕生した商慣行です。小売店に卸してもらえないと困るメーカー側からは意見を出しにくく改善が困難な状況ではありましたが、2012年より国を挙げて3分の1ルールを改善する取り組みが推進され、緩和に向けた動きが加速し、その後7年間にわたり商慣行の緩和に向けた取り組みが進められ、イオンリテール株式会社や株式会社イトーヨーカ堂、株式会社セブン⁻イレブン・ジャパンなど大手企業が3分の1ルールの緩和を了承しています。

 

 

 

 

5 まとめ

 

先進国の多くにおいても、同じ課題をかかえています。スウェーデンでは、賞味期限表示を日付ピンポイントではなく、アバウトな形に変えたところ、食品ロスが20%以上削除されたという報告が上がっています。日本でも大手企業「明治」が賞味期限1年以上の家庭用品商品(常温・冷凍食品)100品目以上を年月日表示ではなく年月表示に切り替えを行うことを2020年に発表しています。

 

このように食品ロスは全世界で大きな課題であり問題です。

日本人は世界の中でも特に賞味期限を気にすると言われます。私自身も食中毒怖さに消費期限が過ぎたものはもちろん、賞味期限の過ぎた食品も食べる気がせず廃棄することがあります。

賞味期限はあくまで「おいしく食べれるめやすであること」をもう一度認識しなおさなければなりません。

 

賞味期限、消費期限の意味を正しく理解し、一人ひとりが食品ロスを少しでもなくしていく努力ができればと願います。

 

食品ロスに関する当事務所の記事をご参照下さい。

 

・食品ロスの「いま」を知る

 

 

HACCPコーディネーター

find a way 法律事務所 石田 香玲