食品表示法における生鮮食品・加工食品の表示のルール - 大阪市で労使、飲食、M&Aに関する相談は「findaway法律事務所」へ

 

皆様こんにちは!
HACCPコーディネーターの石田です。

 

今回は食品表示法についてお話したいと思います。
食品表示法という名前は聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。

その名の通り、食品表示を法律にのっとり表示しなければならないという法律です。

 

食品表示はこれまで複数の法律による規定があり、複雑なものになっていました。

そこで平成28年4月1日より、「JAS法」「食品衛生法」「健康増進法」の3法の食品表示に関する規定を一元化して「食品表示法」が施行されたのです。

 

1.「生鮮食品の表示」

 

まずは生鮮食品の表示ですが、名称と原産地が表示されていることはご存じかと思います。
生鮮の中でも農産物、水産物、畜産物とそれぞれ異なった決まり事があることをご存じの方は少ないのではないでしょうか。

 

(1)農作物の表示

 

・国産品には都道府県名、輸入品には原産国名を表示する

・複数の農作物を混合している場合は全体の重量に占める割合が多いものから順にすべての原産地を表示する

・「その他」や「他」という表現は認めない

 

というルールがあります。

そのため、例えば群馬県産のキャベツ7割と長野県産のキャベツを3割仕入れ、ともにカット野菜として1袋に入れて販売する場合は、

「キャベツ 群馬県産・長野県産」と2県の表示が必要となります。

 

(2)水産物の表示

 

・名称・原産地は必ず表示する

・養殖されたものには「養殖」、冷凍されたものを解凍した場合には「解凍」と表示する

・国産品の場合、水域名(例:太平洋)か養殖の場合はその養殖場が所属する都道府県名を表示する

・輸入品は原則、原産国名を表示する

 

アニサキスが怖い私はお刺身を食べたいとき、必ずこの「解凍」かどうかを確認して購入するようにしています。

ちなみに「解凍」という表示は法律上、義務ですが「冷凍」表示は任意での表示となっています。

また「養殖」表示は義務に対し、「天然」は任意での表示になっています。ということは「養殖」表示のないものは天然だということになりますね。

養殖はまずい、臭みがあるとお思いの方も多いのではないでしょうか。ブリでいうならば、養殖と天然の食味の違いは身の質感と脂の乗りです。

天然ブリはハリのある身質とさらっとした脂が特徴的で、さっぱりを好まれる方は天然を好む傾向にあります。

養殖は通年旬と言える安定した味わいが魅力で程よい身質と脂の乗りをいつでも楽しめることが特徴です。

ブリなどは、脂の乗り方で天然と養殖の見分けがしやすい魚ですが、表示もご参考にして頂ければと思います。

 

(3)畜産物の表示

 

・名称には、食肉の種類(牛・豚・鶏など)を表示する

・国産品には「国産」または「国産品」と表示する

・国産品の都道府県名は任意で表示する(義務はない)

・輸入品は原産国名を表示する

 

尚、原産国という考え方ですが一番長く飼育された場所をさします。

そのためたとえば、牛がアメリカで産まれ3年育ち、そののち生きた状態で日本に輸入され5年飼育された場合、表示は国産になるのです。

従って、国産という表示の畜産物が日本産まれ、日本育ちのものとは限らないのです。

また「和牛」=「国産牛」ではありません。「和牛」とは呼称のようなもので、国産表示とは逸にしますのでお気を付けください。

 

 

2.「加工食品の表示」

 

加工食品の表示項目は、「名称」「原材料名」「内容量」「期限」「保存方法」「製造者等」です。

 

*平成29年9月に食品表示基準が改正・施行され、国内で作られたすべての加工食品に対して、原料原産地表示を行うことが義務付けられました。

令和4年3月31日までは食品メーカー等の準備をするための猶予期間とされています。

 

(1)「名称」

商品名とは違い、内容物を表す一般的な名称・種類です。

たとえば、「ラムネ」というのは商品名に対し、「名称」は清涼菓子と表示されます。

 

(2)「原材料名」

原材料と添加物を区分し、それぞれ重量の多い順にすべて表示されます。たとえば、ラムネなら「ぶどう糖、タピオカでん粉、ミルクカルシウム」が原材料となり「酸味料、乳化剤、香料」が添加物となるのです。ぶどう糖、タピオカでん粉、ミルクカルシウム/ぶどう糖、タピオカでん粉、ミルクカルシウムと同列にスラッシュなどで区切られた表示が多いかと思います。
また複合原材料の表示についてです。想像して頂きやすいのが、お弁当に入っている煮物です。表示の仕方としては煮物(ジャガイモ、ニンジン、シイタケ、インゲン、糸こんにゃく、その他)というように、原則、重量が重い順にすべて表示します。但し、複合原材料が3種類以上ある場合、複合原材料に占める重量が3番目以下、かつ5%未満のものは「その他」と表示できます。

 

(3)「内容量」

包装されている商品の重量・体積、また数量(個数や枚数)が表示されます。

 

(4)「期限」

賞味期限、または消費期限を表示します。
賞味期限、消費期限については次回詳しくお話したいと思います。

 

(5)「保存方法」

食品を安全な状態で食することのできる保管方法が表示されます。たとえば、〇〇℃以下、直射日光を避ける、高温多湿を避けるなどです。

 

(6)「製造者」

製造者、加工者、販売者などの氏名、所在地(住所)を表示します。電話番号に関しては任意表示になります。

 

 

3.加工食品の表示の例外

 

あらかじめ箱や袋で包装されている加工食品や、缶や瓶に詰められた加工食品が表示対象になりますが表示対象外となる場合があります。

 

・店内または同一敷地内で製造あるいは加工され、一般消費者にその場で販売されるものやその場で飲食されるもの。
・バックヤードで加工している店内調理品を容器に入れて包装したもの(店頭で計り売りされる総菜・パン、注文してから作る弁当など)

 

確かに、スーパーの総菜コーナーの調理品には詳しい表示がされていないものが多いことに納得です。パン屋さんのパンにも表示はされていませんね。

 

他にも食品表示法では、アレルギー表示、栄養成分表示、有機農産物と特別栽培農産物に関する表示、遺伝子組み換え表示、食品マークなどについて定めています。

また改めてこれらの食品表示法についてはご案内していきたいと思います。

 

 

4.まとめ

 

日常の中で食品を購入する際、何気なく食品表示を見る方も多いと思います。身体に入れるものだからこそ何が含まれているか確認をすることはとても重要なことです。今回は食品表示法で決められている生鮮食品・加工食品の表示のルールをご紹介致しました。日常生活の中で、ご参考になれば幸いです。