アレルギー
皆様こんにちは。HACCPコーディネーターの石田です。
今回はアレルギーについてお話したいと思います。
皆様はアレルギーをお持ちですか?また近親者でアレルギーを持っていらっしゃる方はおられますか?
私自身はこれといったアレルギーはなく、また4歳の娘もさいわいなことにアレルギー症状が今のところ出たことはありません。
目次
私たちの体にはウィルスや細菌などの異物が入ってきたときに体内に「抗体」が作られ、これら外敵をやっつけようとする「免疫」というしくみが備わっています。ところがこの免疫の仕組みが食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ」と過剰に反応して攻撃をしすぎる結果、逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうのが「アレルゲン」です。
要するに、アレルギーは体を守る「免疫」反応のエラーと言えます。
飲食店舗の皆様はお客様のアレルギー対応を日々されていることかと思います。
私も飲食店舗で勤務していた際は、数多くのアレルギー対応をさせて頂きましたが、最後まで毎回毎回緊張していました。
身体に入るものというのは取り返しがつかず、万が一を常に想定しながらも、一から十まで自分が作るわけではないので、どこかの段階でアレルギー物質が混入してしまったらどうしようと毎回カリカリしたものです。
食品に関する法律は、食品衛生法・JIS法・健康増進法の3つでルールが定められています。
JIS法では原材料などを、健康増進法では受動喫煙防止などを扱っています。その中でもアレルギー表示に関する法律は「食品衛生法」によって定められていました。
しかし、食品の表示全般に関わる制度が複雑で消費者や事業者にとってわかりにくい点も多くあったたため、平成27年4月1日に「食品表示法」が制定されたのです。
食品表示法はアレルゲン表示以外にも消費者が食品を選択・購入する際に必要な情報を、よりわかりやすく確認できる表示制度となっています。
アレルギーには必ず表示されるもの特定原材料7品目と表示が勧められているもの21品目があります。
特定原材料とは患者数の多い乳・卵・小麦・えび・かに・そば・落花生と重篤な症状に至ることが多い品目が指定されています。
21品目は以下の通りです。
アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・くるみ・ごま・さけ・さば・大豆
鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン
特定原材料に準ずるものとして可能な限り表示をするよう努めることとされています。
なぜ義務化されないのでしょうか?
それは材料の仕入れや調理の過程でコンタミネーション(混入)を完全に防ぐことは難しくこれを徹底するとどうしても営業に
支障が出てしまうこと等が理由です。
食品を購入する際に表示の確認をした経験はありますか?
一般的に箱や袋で包装され販売されている食品は特定原材料7品目の表示がされています。
ただ、スーパーなどの店頭で計り売りされる総菜やパンなどは表示義務対象から外れていますし、アルコールなども対象外です。
また意外に思われる方も多いのではないかと思いますが、飲食店舗でのアレルギー物質の表示は義務つけられていないのです。
しかしながら近年のアレルギー患者数増加の傾向から自主的にアレルギー表示をしている店舗様も多く見られます。
飲食に携わっている人にはイチ消費者としては命に関わる少なからずアレルギーの知識を持っていただきたいと思います。
実際体験した出来事なのですが、私が勤務していた飲食店舗は全国にチェーン展開する企業でしたので、物販商品はもちろん、店内メニューに関してもアレルギー一覧表を用意しており、お客様のアレルギー対応は時間帯責任者クラスのみと対応できるスタッフも決まっておりました。そんな中でも、アレルギー事故はおこるのです。ある日のこと 甲殻類(えびやかに)のアレルギーをお持ちのお客様がご来店され、スタッフにアレルギーである旨を申し出られたため、スタッフはアレルギー一覧表をお客様にお見せしながら甲殻類にチェックがないことを2者確認し、ご注文いただきお召し上がり頂きました。お帰りなられてから数時間後にそのお客様よりお電話があり、アレルギー症状が出ているとのお申し出を受けました。
どうしてか・・・、実はお客様のご注文頂いた商品には隠し味として魚醤を使用していました。魚醬には魚介エキスが入っており、その魚介エキスの中に甲殻類が含まれていたのです。特定原材料は食材としての表示であるため、魚醬に甲殻類のエキスが入っていてもえび・かにが含まれているとの表示にはならないため、お客様に認知されず今回は運悪く反応してしまったという事故でした。お客様の症状は軽く命に関わる程度でなかったことが不幸中の幸いでした。
こうしたことからも加工食品に原材料の表示義務はあるものの、加工食品を加工する場合必ずしもすべての情報が網羅されるとは限らないため、アレルギー症状が重篤化しやすい人は特に注意が必要です。
また、飲食店舗の方々は基本のアレルギー情報を習得していることが求められると同時にお客様と必要なコミュニケーションを取れるスキルが必要です。7品目・21品目以外にのアレルギーをお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。どの程度のアレルギーなのか、コンタミネーションを理解して頂けるのか、万が一のことを想定し、ご注文をお受けできない場合の対応など、お客様を想うからこそお断りをする勇気も必要です。
また飲食店舗はどうしても人手が必要になることからアルバイトスタッフを雇用しているところが多いかと思います。アルバイトスタッフの方に食品の提供をするということは人の命に繋がっているという認識をしっかりと入店当初より教育することがとても大切です。
そしてアレルギーと無縁の人も関係ないと思うのではなく、どんなものがアレルゲンなのかという知識を常識として誰もが身につけていくことができれば、みんなが安全に楽しく食事をすることができるようになっていくのではないでしょうか。
*コンタミネーション・・食品を製造する際に、原材料としては使用していないにもかかわらず、意図せず混入してしまうこと。
find a way 法律事務所
HACCPコーディネーター 石田 香玲