おせち料理
皆様こんにちは。
食生活アドバイザーの石田です。
気づけば、師走!
毎日があっという間に過ぎていきます。
年賀状やらな、、掃除もしやな、、美容院予約しとかな、、
そう、お正月を迎える準備がとても忙しい毎日です。
お正月と言えば、皆様何が楽しみですか?
私はおせち料理、それから母の作るお雑煮がとても楽しみです。
昔はそんなにテンション上がらなかったおせち料理が近年ではとても楽しみになってきました。今日は、「おせち料理」の由来や、意味を食生活アドバイザーとして解説していきます。
目次
おせち料理は、節と言われる季節の変わり目ごとに、豊作を感謝して神様にお供えものをした「節供」に由来しています。
お供えものとして作物で作った料理がおせち料理の始まりと言われています。
では、おせち料理はいつからはじまったのでしょう?
実はおせち料理の起源は、弥生時代に遡ります。
稲作が縄文時代の終わりに中国から日本に伝来し、弥生時代にかけて広まりました。これによって、狩猟中心の社会から農耕中心の社会へと変わりました。弥生時代には、中国から「節」を季節の変わり目とする暦がもたらされ、節ごとに収穫を神様に感謝して、「節供」と言われるお供え物をする風習が生まれたのです。
そして、「節供」として供えた作物を料理したものは「節供料理」と呼ばれ、おせち料理のもととなっていったのです。
弥生時代に風習であったおせち料理が定着したのは、奈良時代から平安時代と言われています。
唐の歴法にもとづいた節目の日である節日に、邪気を祓い、不老長寿を願う儀式として「節会(せちえ)」が催され、「御節句(おせちく)」と呼ばれるお祝い料理が振舞われました。
特に、五節句の日に開かれる節会は重要視され、「五節会」と言われました。
*五節句とは、日本の四季を彩る代表的な節句のことで、以下の5日です。
・1月7日 人日の節句(じんじつ)
・3月3日 上巳の節句(じょうみ)
・5月5日 端午の節句(たんご)
・7月7日 七夕の節句(たなばた)
・9月9日 重陽の節句(ちょうよう)
平安時代では、「御節句(おせちく)」は正月料理という位置づけでなく、五節句のお祝い料理のことを総称していました。
江戸時代に入ると、幕府が五節句を、公式な祝日として定めたことにより、庶民の生活に浸透していったと言われています。
そして、「御節句」は新年を迎える最も大切な料理に定着し、第二次世界大戦後に「おせち」と呼ばれるようになりました。
おせちってかなり昔からあるんだろうなぁとなんとなく思ってはいましたが、こんな長い歴史があったとは。文明の進化により、おざなりにされたり、省略されていったりすることが多い世の中ですが、引き継がれてきたものを大切にしたいなと改めて感じました。
おせちと言えば、重箱に入っているのは言わずもがなです。
重箱は、「福が重なる」と言われる縁起の良い器であるため、江戸時代頃より、おせちは重箱に詰められるようになりました。
また、地域にもよりますが、縁起が良いとされる5や7などの奇数で料理を詰めたり、向きや並べ方にもしきたりが多く残っています。
おせち料理って何が入っていたっけ?
と聞かれれば、なんとなくあれと、これと・・と思い浮かべられると思いますが、料理それぞれの意味はご存じですか?
おせち料理は、以下の5種類に分類されます。
・新年を祝う3品の「祝い肴(いわいざかな)」
・酒のつまみになる「口取り(くちとり)」
・魚介を使用した「焼き物」
・根菜などを使用した「煮物」
・酢で味付けした「酢の物」
以下では、おせち料理の一つひとつの意味を紹介していきたいと思います。
「祝い肴」は「祝い肴三種」や「三つ肴(みつざかな)」と呼ぶこともあります。
「祝い肴」は子孫繁栄、不老長寿、豊作を意味する3品を用意します。
地方により、用意するものも多少変わります。
【関東】数の子、黒豆、田作り・ごまめ
【関西】数の子、黒豆、たたきごぼ
●数の子(子孫繁栄)
ニシンの卵の数の子は、卵の数が多いことから子孫繁栄を意味します。
「春告魚」と書くニシンは縁起が良い魚とされ、様々な祝いの席にも出されます。また、ニシンに「二親」の字を当てて、両親の長寿も祈願します。
●黒豆(不老長寿)
黒豆は正式には「黒大豆(くろだいず)」と呼び、黒は邪悪なものをよける色として古くから親しまれています。豆は「マメに働いて暮らす」という意味があり、勤勉と健康を願って頂きます。地域によっては、黒豆にシワが出るように煮て、長寿を祈願します。
●田作り・ごまめ(豊作)
田作りは、カタクチイワシの肥料で米が5万俵も収穫できたことに由来し、「五万米」と書いて「ごまめ」と呼ぶこともあります。小さいながらも頭と尾がそろうカタクチイワシは、縁起が良い食材とされています。
●たたきごぼう(豊作)
根を深く張るごぼうは、家族や家業が土地に根付いて代々続くという意味を持ち、細く長く幸せが続くことを祈願する食材です。さまざまな薬効成分から健康を願うおせちとして知られ、ごぼうをたたく動作は身を開いて開運に通じると言われています。
口取りに出されるおせち料理は、地域によりそれぞれです。代表的なものに、かまぼこや伊達巻(だてまき)、昆布巻、栗きんとんなどがあります。もちろん、一つひとつに意味があります。
●かまぼこ
かまぼこの形状が日の出に見えるため、古くからおせちにふさわしい食材とされています。紅白のかまぼこは紅が「魔除け」や「喜び」、白が「神聖」や「清浄」を表す縁起物です。
●伊達巻
伊達巻は、もともと長崎県の「カステラかまぼこ」と呼ばれる料理です。伊達巻の名は、しゃれた身なりをした「伊達(だて)もの」の着物に似ていることに由来します。巻いた形状が書物や掛け軸を連想させるため、知性や文化の発展、学業成就の願いが込められています。
●昆布巻
「喜ぶ」と関連づける昆布は「広布(ひろめ)」とも呼ばれ、「広める」につながる縁起物として使用されます。北海道の特産の昆布は「夷布(えびすめ)」の名もあり、七福神の「恵比寿様」を連想して「福を授かる」という意味も含まれています。
また、「こぶ」に「子生」の当て字をして子孫繁栄も祈願します。
●栗きんとん
きんとんの名は中国のまんじゅうの「餛飩(こんとん・こんどん)」に由来し、のちに「金団」の文字を当てたと言われています。鮮やかな色が小判や金塊に似ているため、金運の上昇を願っていただきます。また、栗は「勝ち栗」と呼ばれ勝負に強い縁起物とされています。
焼き物としては主に魚介類を用意します。地域によってさまざまですが、代表的な魚介をご紹介します。
●鯛
めでたいと連想するのに欠かせない魚です。七福神の恵比寿様が手にしていることからお祝いごとには必ず登場します。「尾頭付き」や切身を重箱に詰めます。
おせち以外でも「結納」の儀式や「お食い初め」にも用いられます。
●ブリ
ブリは成長に伴なって名前が変わる「出世魚」です。おせちに入れる際には立身出世を意味します。
関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」と呼び名にずいぶん違いがあります。
●海老
えびには複数の縁起の良いいわれがあり、おせちに限らず結婚式などの慶事で頻繁に食されます。 えびはその見た目からもわかるように「曲がった腰と長いひげ」が長寿を表しているとされます。 そして、「目が飛び出している」外見から、「めでたし(目出たし)」と連想され、慶事によく用いられます。
●貝
おせちには、アワビやトコブシ、ハマグリなどの貝が使われます。
重箱の中でひときわ存在感を放っているアワビは、言わずと知れた高級食材です。昔からあわびは貴重だったため、天皇家の祭りの供物や土地の神様に対する供物として贈答する習慣がありました。
アワビは長生きで15年から20年ほど生きると言われていることから、不老長寿の象徴とされ、縁起のいい貝です。
トコブシは別名「フクダメ」と呼ばれることから「福がたまりますように」との願いが込められて食されます。また「九穴(くけつ)の貝」という言い伝えがあり、殻に九つの穴が空いたあわびを食すると長寿になるとされましたが、その代用品としてトコブシが重宝されました。
ハマグリの貝のそれぞれ対になっている殻は、もともとの対としかぴったりとは合わず、他の殻とは合わせることができません。そのことから夫婦円満、良縁を表す食材として慶事に用いられる食材です。
●筑前煮
根菜類と鶏肉などを油で炒めて煮る「筑前煮」に対し、「煮しめ」は鶏肉を入れない地域もあり、具材は炒めず煮汁を残さないように仕上げる点が特徴です。どちらもたくさんの具材を同じ鍋で煮るため、家族が仲良く暮らすという意味が込められています。
●紅白なます
平安時代から続く、平和を願う縁起物のお料理なのです。 なますは糖分と酢が一緒にとれるため年末の大掃除等の疲労回復効果が期待できる一品です。 紅と白のお祝いの水引を、人参と大根で表現したものが紅白なますです。 平和を願う縁起物のお料理です。
今回はおせちのはじまりから、重箱の持つ意味や、おせち料理の意味をご紹介しました。
令和4年のお正月のおせち料理は一品一品の意味を確認しながら召し上がるのも、風流ではないでしょうか。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
食生活アドバイザー
find a way法律事務所 石田 香玲