何がどう違う? 有効に機能性食品を利用するための豆知識
皆様ご無沙汰しています。
HACCPコーディネーターの石田です。
今年は阪神タイガース残念な結果となりましたね。でも、岡田監督が就任されて、選手もファンもワクワクしますよね。来年は絶対にアレしていたいものです。
一方で、オリックス、日本一おめでとうございます!!
昨今、健康志向の高まりから、さまざまな機能性を表示した食品が販売されています。
私は美白効果のあるサプリを飲むようにしていますが、みなさんは健康食品を利用していますか?
「トクホ」とか」「機能性表示食品」とかよく耳にしますが、何がどう違うか理解している人は少ないような気がします。
今回のコラムでは「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」3種類の概要を解説していきます。
3種類の違いを理解して、上手に使い分けることが重要ですので、食品を購入される際の参考にして頂けばと思います。
目次
3種類の違いを説明する前に、まずは制度の大枠について簡単に説明します。
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば、サプリメントのような健康食品を摂取している人の割合は男性が
30.2%、女性38.2%で、多くの方が利用していることがわかります。
年代別では、男女ともに60歳代が最も高く、男性は34.1%、女性は42.1%もの方が利用しています。
そういえば、60歳代の私の両親もサプリが好きで、実家に帰るたびに、「これは脂肪の吸収を抑える効果があるねん」「これは、便秘が解消されるねん」とさまざまなサプリを勧めてきます。笑
日本国民が様々な健康食品に興味津々なわけですが、保健機能食品制度とは従来、多種多様に販売されていた「いわゆる健康食品」のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認める制度です。
国への許可等の必要性や食品の目的、機能等の違いによって、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つのカテゴリーに分類されます。
つまり、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つの総称が保健機能食品制度(いわゆるトクホ制度です)というわけです。
では、それぞれの概要を説明していきます。
特定保健用食品(以下トクホ食品といいます)の特徴は以下の通りです。
特定保健用食品とは、有効性、安全性などの科学的根拠について国が審査し、消費者庁長官が保健機能の表示を許可している食品のことを指します。
特定保健用食品は、保健機能食品の中でも歴史が長く、1991年に当時の厚生労働省のもとで始まりました。
2009年9月に消費者庁が創設された際に、制度が移管され、トクホマークの上に「消費者庁許可」と書かれるようになりましたね。
制度創設時、ニュースなどで大きく取り上げられていたのを覚えています。
トクホ食品以外は、消費者庁の許可は必要ありません。
特定保健用食品といえば、「トクホマーク」で有名です。
人がぐー-と伸びしているような「トクホマーク」は見たことのある方も多いのではないでしょうか。
トクホ制度がスタートした際、このトクホマークが購買理由になった人も多かったように思います。
そもそもトクホ食品は医薬品ではなく食品です。
そのため、トクホ食品には疾病名の表示や病態の改善に関する表示はできませんでしたが、2005年に「疾病リスク低減表示」のトクホ食品が加わりました。
関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合には、疾病名の表示が認められたのです。
これまで認められている関与成分は「カルシウム」「葉酸」の2つです。
例えば、カルシウムは、
「この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。」
と表示することが認められています。
トクホ食品として消費者庁に許可を得るためには以下の要件をクリアしている必要があります。
① 食品又は関与成分について、表示しようする保健の用途に係る科学的根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること。
② 食品又は関与成分が安全なものであること。
③ 食品又は関与成分について適切な摂取量が医学的、栄養学的に設定できるもの。
④ 関与成分について、移り学的、化学的、生物学的性状並びにその試験方法と定性及び定量試験方法が明らかにされていること。
⑤ ナトリウムもしくは糖類等を過剰摂取させることとなるもの、又はアルコール飲料でないこと。
⑥ 日常的に食される食品であること。
⑦ 食品又は関与成分が、医薬品に含まれるもののでないこと。
(一部省略。特定保健用食品の表示許可等について「平成26年10月30日付消食表第259号」より)
トクホ食品として有名なものは以下の通りです。
・伊藤園「カテキン烏龍茶」
・サントリー「ゴマぺプ茶」
・サントリー「伊右衛門特茶」
・日清オイリオ「ヘルシーリセッタ」(食用油)
・ヤクルト「ヤクルト」
・雪印「ナチュレ恵」
個人的なイメージですが、お茶やヨーグルト、青汁などにトクホ表示が多い気がします。
「コレステロールが高めの方向け」や「血糖値、血圧、血中コレステロールなどを正常に保つことを助ける」など、複数の機能性を許可されている食品も見かけるようになりました。
トクホ制度がスタートして、30年以上が経過しました。
1993年より順調に許可件数を伸ばし、2015年には1,238件となりましたが、以降停滞しはじめ、2021年12月25日消費者庁の報告では、現在許可されているトクホ食品は1,075件となっています。
トクホ食品が停滞し始めたのは、(後述しますが)機能性表示食品の市場拡大が大きく起因しています。
また、トクホ食品の大きな特徴である疾病リスク低減効果に関しても品目が少なく、許可表示もわかりにくいことから、消費者庁で現在、見直しが進められています。
栄養機能食品の特徴は以下の通りです。
栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど特定の栄養成分を補給される食品のことです。
栄養成分を一定の基準量含む食品が対象となります。
2001年に制度化されたもので、事業者は条件を満たせば自己認証により国が定めた表示が可能となります。
(ここがトクホ食品と大きな違いです)
トクホ食品のように、特定のマークはありません。
食品表示に「〇〇ドリンク 栄養機能食品」の文言で確認することができます。
現在、栄養機能食品として、基準が定められているのは「ビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類」のみです。
栄養機能食品は特定の栄養成分の摂取を目的として利用されるものですが、それ以外の成分を添加して効果をにおわせている商品も見られます。栄養機能食品はあくまで、特定の「ビタミン13種類、ミネラル6種類、脂肪酸1種類」の表示しかできないということを知っておきましょう。
機能性表示食品の概要は以下の通りです。
2015年に、機能性が表示できる食品の選択肢を増やす目的で新設された制度です。
事業者は科学的根拠に基づいた安全性や機能性を一定要件満たした情報を、消費者庁に届け出ます。
トクホ食品と違うのは、消費者庁の審査がないということです。
事業者が届け出た情報は、消費者庁のウェブサイトで開示されます。一般の方に認知は少ないかもしれませんが、届出番号などから安全性、品質、機能性の情報を調べることができます。
栄養機能食品と同様、特定のマークはありません。
「〇〇ドリンク 機能性表示食品(届出番号▲▲▲)」という表記がされていますので、表示で確認するようにしましょう。
事業者から届出された商品の機能性や安全性、品質は事後チェック制度となっています。
具体的に2つの方法があり、1つは、「消費者庁が販売されている商品を購入して臨床試験を行う」、2つ目は、「販売されている商品の機能性関与成分に関する文献調査(研究レビュー)を行う」のどちらかで行われます。
トクホの機能性のチェック方法は①のみです。
機能性表示食品は、トクホ食品と比較すると②の調査方法を含むことで、多くの食品が届出可能となっているわけです。
実際に、機能性表示食品の調査の結果、表示の届出の取り下げられたこともあるため、トクホ制度と比較すると信頼性は低いという一面があります。
「特定保健用食品」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」の概要を解説してきました。
特定保健用食品(トクホ食品)は安全性や有効性の観点から厳しく審査されているため、最も信頼性が高いことが改めてわかりました。
栄養機能食品は自己認証制度、機能性表示食品は届出制度で、特定保健用食品(トクホ食品)より信頼度はもちろん劣りはしますが、何も認証されていない保健機能食品以外の健康食品よりは信頼度は高いと言えます。
ただ、いずれも過剰摂取には注意が必要です。
身体によいと思って、自己判断で摂取量を増やすことで、健康被害が出るケースも珍しくありません。医薬品同様、用法、用量を守り、自分の身体と相談しつつ、摂取するように心がけましょう。
私自身、「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の表示をよく観察しています。
最後に、健康食品の広告の問題についてですが、機能性をにおわせるキャッチコピーや利用者の口コミなど、ネットには情報が溢れかえっています。
人によって効く、効かないはあるものとわかっていても、魅力的なキャッチコピーに吸い寄せられるように購入してしまうケースも少なくありません。(私自身もですが・・)
ネットで定期購入してしまい、途中で解約しようと申し込んでも中々、解約に応じない事例もあります。健康食品でトラブルになった場合、まずは「188」に電話して最寄りの消費生活センターに相談されることをお勧めします。
皆様が健康食品を購入される際の参考になれば幸いです。
HACCPコーディネーター・食生活アドバイザー
石田 香玲