皆様こんにちは。HACCPコーディネーターの石田です。

今日は食中毒についてお話したいと思います。

 

1.食中毒統計の推移

 

厚生労働省のホームページの食中毒統計を昭和56年から令和元年までの39年間を見てみると平成10年の3,010件をピークに近年は1,000件前後となっています。

患者数は年間2~5万人の間を推移しており、近年は15,000人前後となっています。

 

平成10年というとどんな世相だったのでしょう。気になって少し調べてみました。

平成10年=1998年。内閣総理大臣が橋本龍太郎から小渕恵三に代わった年です。日本の年間自殺者が前年より8,000人以上増加して3万人を超えました。

音楽業界ではCDの生産額が約5879億、CD生産枚数が4億5717万枚とそれぞれ国内史上最高を記録し、CDバブル絶頂期と言われました。

1998年の流行語は「ハマの大魔神」「だっちゅーの」等が大賞を受賞しています。

また大きな事件では和歌山毒物カレー事件が起こったのもこの年でした。躍進と同時に暗い出来事が多かったのが特徴的でした。

 

食中毒件数がピークだった平成10年はサルモネラと腸炎ビブリオによる事件が年間800件を超えていました。ここで菌のご紹介をしておきます。

 

2.菌のご紹介

 

(1)サルモネラ

サルモネラという菌の名前は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。私はサルモネラと聞くと真っ先に卵が思い浮かびます。

サルモネラは人をはじめ、牛や豚、にわとりなどの家畜の腸内、河川、下水など自然界に広く生息している細菌です。

ペットが保菌していることもあるため、ペットに触れた後はしっかり手洗い・消毒をしましょう。

また原因となる食品としては牛・豚・鶏などの食肉と卵です。

サルモネラに汚染された生卵を喫食した子供が死亡した事例もあるため、賞味期限を過ぎた卵を生で食べないこと。

卵の賞味期限は「安心して生食できる」期間です。期限を過ぎた卵は加熱調理(75度で1分以上)してください。

 

(2)腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは沿岸の海水、海泥中や汽水域に分布し、水温が15度以上の環境で活発化する好塩性細菌であり、食塩濃度の高い1~8%の環境下で増殖します。

一方で真水と熱に弱く、また10℃以下では発育できないという特徴があるため、真水(流水)で良く洗浄して菌を洗い流し、十分な加熱調理を行うことで予防できる菌となっています。

お刺身や寿司等の水産品を多く食する日本では食中毒の主な要因の原因菌でしたが、現在は漁獲から販売、消費までの一貫した低温管理で事故や患者数は大きく減少傾向にあります。

 

(3)カンピロバクター

逆に近年上位を占める食中毒菌でカンピロバクターという菌をお聞きになったことはあるかと思います。

鶏・豚・牛などの腸管に存在し、微好気性といって、酸素が少しある環境を好み、酸素が十分にある通常の大気や、逆に酸素が全くない環境では増殖できません。

熱や乾燥に弱く常温の空気中では徐々に死滅します。また、発育(増殖)できる温度域は、30℃から46℃です。

一見して予防しやすそうな条件を持つ菌であるにもかかわらず、食中毒ランキングで1位を占めている要因としては鶏肉を生食したり(鶏レバー、鳥刺し、鶏のタタキなど)十分に加熱せずに食べたこと、また

は鶏肉を取り扱った手指や調理で使われた器具を介して他の食品にカンピロバクターが付着してしまい、その菌を摂取したことなどがあげられます。

厚労省も生や半生の鶏肉料理を扱う飲食店舗へのカンピロバクターによる食中毒予防の喚起をしています。

鶏肉は中心部まで十分に加熱し(中心部を75℃で1分間以上)ましょう。また家庭でも食肉に触れた調理器具は使用後に消毒・殺菌を行いましょう。

私もこの知識を知るまでは特に意識せず、鳥刺しなどを食べていましたが今ではカンピロバクターが恐ろしく生食ができなくなってしまいました・・・。

 

 

(4)ノロウィルス

カンピロバクターに続いて多い食中毒要因はノロウィルスです。

 

とても有名なウィルスですね。冬場に多発し、11月頃から流行が始まり12~2月にピークを迎えます。

原因食品は生ガキ、ホタテ、アサリなどの2枚貝(十分に加熱していないもの)で感染力が非常に強いのが特徴です。

さらにノロウイルスの恐ろしさは感染源が、ノロウイルス感染者から排泄された吐物と糞便にも至るところです。

感染者の吐物には1gあたり10万個前後、発症初期の糞便であれば10億個ものノロウイルスが含まれています。

また、ノロウイルスに感染しても発症しない場合(不顕性感染)があるのですが、その不顕性感染者の糞便にも、発症者と同じくらいのノロウイルスが潜んでいることがわかっています。

ノロウイルスの感染力はとても強く、10~100個程度が口に入ることで感染してしまいますので、目に見えないほんの少しの吐物や糞便によって、次の感染が容易に起きてしまいます。

聞いているだけで恐怖です。私自身も娘がまだ1歳のころ、保育園で感染してきてしまい、娘の吐しゃ物から家族に感染が広がり、総倒れになった経験があります。まさに地獄でした。

 

 

(5)アニサキス

そして最後に近年食中毒原因の3位を占めるのがアニサキスです。

 

芸能人では渡辺直美さんや品川庄司の品川さんがアニサキスでかなりの激痛を経験したことを告白されています。

アニサキスは、寄生虫の一種で、約15ミリの白い糸状の体を持ちます。

アニサキスは、オキアミというプランクトンの一種を食した魚介類を介してヒトに感染し、症状は軽い腹痛を伴うケースから、激痛、腸閉塞に至るケースなど、さまざまです。

ヒトの体内に入ると約1週間で死んでしまいますので、全くの無症状で済むこともあります。

アニサキスの宿主になることが多い魚介類はサバ・さんま・イカです。

しかしながらアニサキスは、60度以上での1分以上の加熱、またはマイナス20度以下での24時間以上の冷凍によって死滅しますので生食を避けることや解凍した魚介が最も効果的な食中毒予防になります。

近年の増加要因としては鮮度の良い状態での漁場から市場への冷蔵輸送技術が向上が考えられます。

 

 

3.まとめ

 

アニサキスを知ってから生魚(お刺身)も怖くなってしまい、食べる機会が減ってしまいました。通常の生活の中で、菌の種類や特徴を知ることもほとんどの場合ないかと思います。私自身も食生活アドバイザーの資格勉強の際やHACCPコーディネーターのワークショップに参加することがなかったら詳しく知る機会はなかったと思います。知識を習得することで恐怖に繋がり食べれなくなってしまった食材もあるのですが、正しい知識を持ち食中毒を自身で予防するということはとても大切なことだと考えています。

 

食中毒の原因として、細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などさまざまあり、食べてから症状が出るまでの期間やその症状、また予防方法も異なります。食中毒は免疫力の弱い乳幼児や高年齢者が重篤な症状に陥ることが多いので、自分自身だけでなく家族を守るためにも少しでも知って頂けたらと思い今回はお話致しました。